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イベント案内と報告

埼玉支部 第1回代議員会・講演会のご報告(2023年9月10日)

埼玉支部2023年10月03日

 埼玉支部 第1回代議員会・講演会のご報告(2023年9月10日)

 

 2023年9月10日(日)に埼玉支部 第1回代議員会・講演会が新宿キャンパスにて開催しました。

 当日は、残暑の中、会場に21名、Zoomでは2名の方々に参加いただきました。

 

【代議員会】

上原支部長の挨拶から始まり、参加者全員の自己紹介の後に次第に沿って以下の議題の説明があり、それぞれ報告、確認されました。

1. 2023年度支部代議員報告

2. 支部代議員の役割について

3. 2023年度 支部活動実施計画について

4. 2023年度 キャンパス見学会について

                日程   10月14日(土) 八王子キャンパスにて

5. 2023年度 支部研修会・保護者交流会について

      支部研修会       日程   12月3日(日) 神奈川方面

      保護者交流会  日程   2月3日(土) 埼玉県内予定

6. その他

 

【講演会】

 建築学部まちづくり学科教授 村上正浩先生より「大規模災害への備え」と題してご講演をいただきました。

 埼玉支部での講演ということで、埼玉県に特化した資料とお話をしていただきました。

 地盤や地形により災害リスクは変化するため、地震だけではなく水害についても、埼玉県のハザードマップを確認し、自身の居住場所の状況を知っておくことが重要です。ハザードマップ上では安全でも過信せずに災害対策をすることが大切です。

埼玉県では、東京都の方が震源地に近いにもかかわらず、揺れが大きい場合があるのは地盤の影響だそうです。河川氾濫などの水害によって、建物が破壊されるような大規模な浸水が起こった場合、地形により埼玉県東側地域では1週間くらいは水が引かないです。

 実験動画では実物大の木造2階建て住宅に対し豪雨による洪水状態(浸水深3m、1階天井の高さ程度)を再現した住宅及び住宅内部の浸水動画を見ながら解説していただきました。床下換気扇から浸水、家具が浮き上がり2階に逃げられなくなり1階で亡くなる方が多いです。電気はショートして停電となります。

 近年の戸建て住宅は気密性が高いため、家が浮いてしまうということもあるそうです。

 令和元(2019)年台風第19号による武蔵小杉のタワーマンション被害は地下にある電気設備室が浸水し、停電・断水によってエレベーター、各戸トイレが使用不可となりました。(各階に設置の共有の簡易トイレを使用)

 建築基準法や品確法において、洪水による床下、床上浸水、軽度な津波や高潮による同様の浸水に対して、その対策としての規制や規定は存在しません。

 多様な防災情報を読み解いてそれぞれの避難スイッチやタイムラインを持つことが大切です。その後の生活再建は復旧ロードマップなどを参考に自治体・保険会社・弁護士などに相談することが大事で、自治体は建物の解体には資金を出してくれるが、建て替えまでは協力してくれない実情があるようです。

 今後起こるであろうM7クラスの都心南部地震は被害想定が国家予算にも匹敵すると予想されます。直下型地震の阪神淡路大震災では建物倒壊による死因が大半を占めました。耐震性のない建物は命を落とす危険性があるので液状化に備えた地盤改良や耐震等級の高い建物で人命は守られます。

 マンションでは建物に被害がなくともライフラインの停止により避難を余儀なくされることがあります。事前の備えはどうすればいいのか、食料の備蓄も必要ですがトイレの準備はとても重要です。黒いゴミ袋、凝固剤、防臭袋を用意しておくとライフラインが停止し、ゴミ収集が無くなった時でも安心です。

 東日本大震災時、震度5程度であった首都圏で515万人の帰宅困難者で大混乱になったが、工学院大学では体制を整えてあったので学内では一斉帰宅の制御・校舎内待機の指示などの対応ができ学外者の受け入れも行いました。直下型地震が起き震度がさらに高くなれば帰宅困難者の一斉帰宅は危険度が増し、群衆なだれの発生や安全な帰宅ルート確保も難しくなるため、慌てて帰宅せず安全を確認しその場に留まることが必要です。車で迎えに行くことも道路の安全が不明な上、渋滞を引き起こし災害対応の遅れになります。できるだけ不安をなくすために、家族と連絡手段や集合場所などを事前に話し合うことが重要です。

 実験物理学者で随筆家である寺田寅彦の言葉、「文明が進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増す」を引き合いに、「被害をゼロにすることはできないが、自助・共助・公助のそれぞれの立場で、できることを、できるだけ行うことで、被害をゼロに近づけることができる」と私は信じています、とのお言葉で講演終了いたしました。

(質疑応答)

Q.新宿の高層ビル街では夏の時期に空調もなく窓も開かない中で3日間待機できますか?

A.工学院大学でも電源の72時間使用を推進改修中で、使用可能なビルもあリます。先に誤作動でスプリンクラーが使えなくなり、ビル火災が発生する恐ろしさがあります。

 歌舞伎町においてはもっとリスクが上がります。工学院大学では震災の避難をすぐに対応でき、ビル内に留まることができない場合には、「新宿ルール」が決められているので工学院大学ならば新宿中央公園に避難するなどガイドラインが決まっています。

 

Q.長野県で被災した際、家の性能によって寒さの状況が異なっていることを経験して思ったのですが、改修などに公的な補助金などは出ないのですか?

A.今のところ耐震補助などに補助金はありません。太陽光発電などの補助金を使い備えておくのが良いです。

 

 関東大震災より100年という節目に参加された方々は、みなとても興味深く講義を聴いていました。

 村上先生の詳しく、分かり易い講義と、質問に丁寧にお答えいただき感謝いたします。

 

【懇親会】

 村上先生を囲み新たに代議員になられた方々も参加しての懇親会となり、講演会の質疑応答の続きかのような質問もあり、和気藹々とした中で色々な実のある懇談ができました。村上先生のお人柄の良さから皆さんもお話しやすく楽しいひと時になりました。

 お忙しい中ご講演をいただきました村上先生とご参加いただいた会員の皆様に厚く御礼申し上げます。

(記) 副支部長 梶原貴子

 

①埼玉支部第1回代議員会

②埼玉支部第1回代議員会

③埼玉支部第1回代議員会

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