8月30日(日)14時より千葉市民会館にて「新入生ご父母歓迎会」が開催されました。入学式が中止になり、前期はオンライン授業のみ、不安な気持ちでいる新入生のご父母のために少しでもお役に立てればとの思いで企画しました。
開催するにあたり、マスク、手洗い、手指やテーブルの消毒をし、3つの密を避け、感染予防につとめました。10名の参加申し込みがありましたが、体調が心配な方などもおり、6名の新入生のご父母と13名の役員の参加となりました。
講師には工学院大学副学長で建築学部建築学科教授の遠藤和義先生をお迎えしました。講演に先立ち、石野相談役より後援会の説明がありました。パワーポイントを用い後援会について写真と解説でわかりやすく紹介していただき、積極的な後援会活動への参加を呼び掛けました。
遠藤先生のご講演は、「本学の遠隔授業への取り組みと、学生支援(就職支援)の状況」という演題でした。前半はオンライン授業についてのお話でした。工学院大学ではZoom等のビデオ会議システムを使用せず、音声付のパワーポイントを視聴する形で行っていますが、その理由は、データ量の増大、ネットワーク集中によるサーバーのダウン、セキュリティ問題を考えての選択だったそうです。実施してから現在までトラブルもなく、1,800の授業をオンライン化でき、平常時に戻ってからも有効利用できるということでした。
後半は先生のご専門のお話でした。サバティカル(7年目の長期休暇)でミュンヘン工科大学へ訪問教授として行かれた時のお話は興味深いものでした。大学院時代の同級生、トーマス・ボック教授(本学の特任教授でもある)により招かれたそうです。当時遠藤先生が学生アシスタントとして日本語を教えたのがご縁で実現したお話なので、大学時代に海外の友人を作って国際交流をすることを勧めておられました。ドイツの教育システムは日本と全く違い、共通テストのスコアがあれば入試がなく大学にいつでも入学でき、授業料も無料、という羨ましい環境だそうです。卒業してもすぐに就職せず長くインターンシップをやって渡り歩き就職するので、ドイツの大学では就職支援はなく、それに対し日本の大学は職業安定法で定められた無料の職業紹介事業機関であり、遠藤先生は大学での就職支援は学生任せにせず責任をもってやっていくべきとおっしゃっていました。就職に関しては日本のシステムの方が学生には優しいようです。
今年3月卒業生の就職内定率は98.5%、東洋経済の調査では95%で全国17位でした。4工大の中ではトップで、今後も95%以上を維持していきたいそうです。企業はインターンシップを重視していること、エントリーシートでは学生時代に勉強以外で力を入れたこと(ガクチカ)が重視されていること、足切りに使われるSPIの点数は問題集で練習すれば上がること、コミュニケーション能力はスポーツ系や文科系のクラブなど組織でもまれることで身につくこと、グローバル化が進みTOEIC600点以上ないと推薦を受けられない企業もあることなど、就職関連のお話は勉強になりました。
懇談会での質疑応答では、「オンライン授業がいつまで続くのか」、「下宿先の契約をどうすればいいか」、「オンラインでは授業の内容がよくわからない」などのご質問がありました。今後は実験、実習のある科目については対面授業をしていき、課外活動も八王子で出来るようになっていくようです。オンライン授業で分からないところは積極的に質問をし、学習支援センターにも経験豊富な講師がいるのでこちらもリモートですが、ぜひ利用してほしいとのことでした。
コロナ禍での開催で、親睦を図ることは十分できませんでしたが、大学の情報を得ることができ、会員同士不安や悩みを共有し、先生にお伝え出来、大変有意義な時間となりました。
遠藤先生には遠路千葉までおいでくださり、また会員のためにご準備いただいて素晴らしい講演をしていただきました。難しい質問にも一人一人、大学代表としての立場から真摯にお答えくださり、心から感謝いたします。この場を借りてお礼申し上げます。
(記:千葉支部長 菅波かよ)