令和5年12月9日(土)に新宿キャンパス等にて、2023年度の茨城支部行事が24名の支部会員の参加の下、開催されました。
今年度の茨城支部行事については、学生さんによる新宿キャンパス見学ツアー、伊藤学長による講演会及び懇親会を予定しておりましたが、開始時間の30分前(支部役員による準備終了、受付開始時)より、主会場である高層棟11階A1161教室に伊藤学長が早々に来室され、開始までの間、支部会員及び学生に対し、教壇の講義システム(書画カメラ、スクリーンの開閉操作等、リモート・オンデマンド授業への活用方法)について実機を前に説明を始めて下さいました。参加者一同、コロナ禍におけるオンライン授業の充実化のための設備投資状況について理解の一助を得ることができました。冒頭より予定外のイベントが実施され、支部役員が綿密に立案した支部行事のプログラムが、伊藤学長のサービス精神旺盛で奇想天外なご対応により、筋書き通りに進まないことを、この時点で認識し始めました。
以下に、計画外の内容が多々含まれ、楽しさ満載、充実感満載となった支部行事の実施結果について報告します。
【開会】
13時30分からの開会に先立ち、小林支部長からの開催挨拶(会員への支部活動への協力支援感謝、多角的な視点からの助言依頼)に続き、伊藤学長による来校歓迎の挨拶があり、その中で「本日は新宿キャンパスの全貌をお見せします。秋のキャンパス見学会では見ることの出来ない場所にもご案内します。新宿キャンパスは教室だけではありません。設備の充実さを知って帰って下さい。フルサービスです。」との嬉しい話しを頂き、間髪入れずに「天気もいいので、29階の屋上にも行きましょう!14時まで開けております。急ぎましょう。」との発言に伴い、参加者の自己紹介を後回しにして、新宿キャンパス見学ツアーへと雪崩込みました。
【新宿キャンパス見学ツアー】
4名の学生さんのエスコートにより、2班に分かれて、工手の泉(ライブラリサービス)、就職支援センター、キネティックウォール、地下ラウンジのB-ICHI等を順不同で見学予定でしたが、先の伊藤学長のご厚意により、予定を大幅に変更し、最初に29階の屋上に参加者全員で移動しました。当日は12月とは思えない20度を超える温暖で無風の気候でしたので、29階にいても寒さを全く感じず、29階からの360℃の新宿区のパノラマビューを学長からの新宿駅周辺の再開発状況、周辺の主要施設・ビルの説明付きで堪能することができ、参加者一同、最初からハイテンション状態となりました。このような絶好の機会でしたので、当初、教室で撮影予定だった参加者の集合写真を屋上に変更したことは言うまでもありません。
屋上を後にして、地下2階へと下降し、強電実験室等の見学をしました。電気技術者として基礎的な技能を習得するために必要となる様々な実験装置が所狭しに配置されていて、実習設備の充実さを垣間見ました。実験室の見学では、学長が学生さんに対して「ご父母の皆さんに説明をしなさい」とリクエストし、学生さんが突然の依頼に動揺しつつも自らの言葉で我々に分かり易く説明しようとする姿は、学生さんにとっても非常に良い学びの機会であると感じました。同階では他にもコンクリート等の材料の強度を測定する試験機や体育室(こんな地下にあるだとの驚き)についても紹介がありました。
地下2階を見学した後は、当初予定していたキネティックウォール、就職支援センターを順次案内して頂き、センター担当者から支援センターの概要として、特に学生への就活サポート(エントリーシートの添削指導、模擬面接、オンライン用個別ブース利用等)、並びに来週に予定されているオンラインの合同企業セミナーの紹介がありました。伊藤学長からは、「年々就活の早期化長期化が顕著になっているものの、学生にはしっかりと勉強して自分の専門性を高めた上で就活に臨んでほしい(出来れば大学院に進学して欲しい)」旨のお話しがありました。参加者にとっては、充実した就職支援センターの利用を子供たちに促すことが、本日の支部行事の習得事項の1つとなったことは間違いないと思います。
その後は、工手の泉(ライブラリサービス)のある2階3階フロアを見学し、豊富な書籍と集中して勉強ができる空間、グループワークやディスカッションに適したエリア等を訪れ、勉学に勤しむ学生さんの姿を見ることができました。
見学ツアーの最後には、14階の情報処理演習室を案内して頂き、学生さんの自前ノートPCを演習室の大画面のディスプレイに繋げて、ツインディスプレイ方式にしてレポート作成や実験データ整理をより迅速・効率的に行う本演習室の利活用目的について説明があり、3,4年生の子どもを持つ支部会員らは、これらの充実した施設を子息が利用していることを願って止みませんでした。
オプション満載のキャンパス見学会を終えた支部会員は、想像以上の情報量と歩行距離により頭の中と脚に心地良い疲労感を覚えました。
【伊藤学長講演会“草魂(くさだましい)”】
新鮮で内容盛り沢山のキャンパス見学会の後、本支部行事のメインとなる、伊藤学長による講演会“草魂”が行われました。開催に先立ち、参加者の自己紹介(子息子女の学部・学科・学年、出身市町村、近況報告等)があり、茨城県日立市の方が最遠者でした。
自己紹介の後には、伊藤学長より「茨城支部にはOB・OGの支部役員経験者がおられますが、その方々は宝です。コロナ禍で対面の支部行事が開催されなかった現役の支部役員にとって頼りになります。是非、辞めずに継続して下さい。」とのエールがあり、現役役員の喜ぶ表情とOB・OG役員経験者の困惑する表情が会場内に交錯しました。
講演会のタイトルである“草魂”は、プロ野球パリーグの近鉄バファローズ(現、オリックスバファローズ)の大投手である鈴木啓二氏の座右の銘(造語)です。鈴木啓二投手は、「負けたらアカン!」と決して強豪ではなかったチームにおいて、先発完投で真っ向勝負を挑み、孤軍奮闘し、歴代最多の先発勝利数を持つ球界を代表の大左腕です(筆者も現役時代の活躍を一応存じております)との説明が伊藤学長からあり、同様の座右の銘として、元巨人でメジャーリーグ投手でもある上原浩二氏の“雑草魂”についても紹介がありました。
講義では、伊藤学長の華麗な経歴である生物流体力学の研究に基づいて確立された、競泳のスッポン泳法に関するTV番組の出演映像から始まりましたが、その成功の根底には中学校時代からの学業成績、大学進学までの様々な挫折、並びに大学進学後の天職に辿り着くまでの幾多の苦労があり、どのようにしてそれらを乗り越え、克服して結果を出すことができたかについて、具体的な経験談を基に我々に語りかけて下さり、「いかに有意義な学生生活を送るか」について多くの学びを得ました。
伊藤学長がご自身の経験に基づく、夢を実現させるための志、考え方、日々の行動等については、幾つかの格言等を用いて説明して下さいました。主なものとしては、以下のものがあり、どれも説得力を持って聞き入ることが出来ました。
〇夢を叶える「か き く け こ」(工学院大学のHPを参照願います)
〇夢を実現する4つのC(by Walt Disney):Curiosity(好奇心)、
Confidence(自信)、Courage(勇気)、Constancy(継続)
〇新月のアファーメーション(肯定的な言葉、思考)
〇人間万事塞翁が馬(人生における幸不幸は予測しがたい)
〇天に向かって唾を吐く(悪事は自分に返ってくる)
〇情けは人の為ならず(自分に返ってくるもの)
また、講義の後半では、伊藤学長から見た、工学院生の気質を長所と短所のキーワードで提示して下さいました。工学院生の強みとしては、真面目、慎重な行動、謙虚さ、優しさ、楽観的、上下関係が厳しくない人間関係といったものが挙げられたものの、それらは見方を変えれば弱みにもなる、表裏一体のものとのことでした。ネガティブな言葉は本報告では書きたくないので、短所については割愛しますが、伊藤学長としては工学院生に「もっとアクティブに忍耐強く突き詰めて行動を起こしてほしい」との願望を持たれていて、日々の教育活動を通じて学生に伝えていらっしゃるようでした。伊藤学長の講義でプロジェクタ投影したスライドについては、内容を熱心にメモする方、スマホ写真におさめる方等が数多くおられ、後日、見返して復習し、子ども達に伝えるべき有益なものであることの表れでありました。本講義ではホタテ貝の泳ぎ方(口を開けている方が前か後か)に関するクイズも出され、大半の方が不正解(口が後ろ側)になるなど、雑学的にも非常に楽しい講義でありました。
本講演の最後には、伊藤学長が教室にいる支部会員や4名の学生さん達に「自分(子ども)の未来は本人の責任で決めなさい(決めさせなさい)」というメッセージを頂くと共に、家名ではなく「夢」が刻まれた工学院大学の創設者の墓石の写真を見せて下さり、皆それぞれ感慨深げになりました。
当初、90分間の講演会を予定しておりましたが、フルコースのキャンパス見学ツアーに時間を要したため、急遽60分間に短縮されたにも拘らず、伊藤学長におかれましては、密度を高めてお話ししたい内容を全て我々に教示して頂き、ありがとうございました。
【懇親会】
伊藤学長の目から鱗の講演会の余韻が冷めやらぬまま、新宿キャンパスの道路を挟んで反対側にある新宿住友ビル2階の北大路新宿茶寮にて、伊藤学長、4名の学生さんも交えての懇親会を行いました。新宿キャンパスからの徒歩移動では沿道やビル周辺のイルミネーションを眺めつつ、住友ビル内に入るや否やエントランスに飾られた巨大なクリスマスツリーとその装飾イルミネーションの美しさに圧倒、魅了され、スマホでの記念撮影会が始まり、開宴直前まで続きました。茨城では滅多にお目にかかれない景観でしたので、支部行事に参加して良かった事がまた1つ増えました。
懇親会では、4つの大テーブルに同じ学部・学年や支部役員と支部会員の混在を考慮した座席割りを設定し、初対面である支部会員同士でも共通の話題や支部活動のイロハ・楽しさについて話が弾んで親睦が深められるようにしました。学校生活の状況(特に単位の取得)、アルバイトや一人暮らし(日頃からの連絡や帰省頻度)の様子、八王子から新宿にキャンパスに変わる際のアパートの引っ越し等の話題について情報を取得・共有し、一喜一憂する様子が伺えました。
また、各テーブルには学生さん1名に座って貰い、支部会員からのリアルな工学院大学生の生活、就活等、質問責めに真面目に答えて頂きました(ありがとうございます)。一方、懇親会でも、伊藤学長の行動力は健在で、各テーブルを回っては支部会員や学生さんと交流を図り、ご自身の学長、教育者としてのお考えを教示いただきました。昨年同様、今回の支部行事を通して、支部活動への参画を前向きに検討頂ける支部会員の方が何名かおられ、今後の茨城支部の活動が更に拡充しそうな期待感を抱くことができました。
このような楽しい懇親会も瞬く間にお開きの時間が来てしまい、相談役の一本締めと集合写真の撮影を持って、2023年度の茨城支部行事は名残惜しつつ終了となりました。
〔おわりに〕
昨年から対面開催となった茨城支部の支部行事については、前年の成功裡もあり、目に見えぬ2年目のジンクスを小林支部長をはじめ役員一同が背負いつつ、支部長経験者らからの助言を得ながら協議を重ね、企画立案して開催しましたが、伊藤学長のバイタリティ、自由奔放さが内容をグレードアップさせ、想像以上の充実した支部行事となることができました。
今回の支部行事を通して、茨城県から工学院大学に子どもを通わせている保護者間の親睦促進が図られ、子ども達の工学院大学での学びの様子等について、理解を深めることができたと思います。本支部行事で得た情報等を子ども達との話題にするかどうかについては、会員によりけりかもしれませんが、少なくとも、保護者として子ども達が今、何をどのようにして学んでいるかについて知ることができ、心配事も多少和らいだことが本支部行事の最大の開催意義であったと思います。
今年度の支部行事を通して、年々、役員の交替があるものの、アットホームな茨城支部の雰囲気が継承されたことは、今後の茨城支部の活動が充実、発展していくことを明示していることに疑いの余地はありません。
毎年のことではありますが、今回も残念ながら参加できなかった支部会員の皆様におかれましては、次年度以降のイベントや今年度の残りの代議員会への参加(オブザーバー)を通して支部活動への興味を持って頂ければ幸いです。
本支部行事の開催にあたり、企画段階から、ご支援ご協力を頂いた工学院大学の事務局、後援会本部、並びに伊藤学長、学生さん、就職支援センターをはじめとする関係者の皆様に改めて深謝申し上げます。
(記;相談役 久野 剛彦)
①講義システムの説明
②実験室の見学
③屋上での記念撮影
④懇親会
⑤装飾イルミネーション