11月14日(日)に埼玉支部研修会を開催いたしました。今回は新型コロナウイルス感染拡大及び緊急事態宣言等の影響から2年ぶりの開催になリました。
支部役員をはじめ代議員、顧問、会員、そして大学から建築学部まちづくり学科教授 星 卓志先生をお招きし、総勢28名(Zoom講演会参加4名を含む)の方に参加いただきました。
爽やかな秋晴れのもと先生の講演から研修会が始まり、全行程を無事に終え閉会に至りましたことをご報告申し上げます。
コロナ感染対策は、終日マスクの着用、施設移動ごとの体温検査、アルコールによる手指消毒、バスでは座席指定制、隣席に座らない、定期的に換気を実施するなど十分に行いました。
<講演会 —建築学部まちづくり学科教授 星 卓志先生—>
スタートは、工学院大学新宿キャンパスにて「都市計画とまちづくり」というテーマで星先生にご講演いただきました(ご都合によりZoom参加)。
「まちづくり」は、「インフラ」、「都市機能」、「コミュニティ」の組み立てを行政、企業などの利害関係者が現状を把握し、未来をどのようにするか合意した上でアクションプランを作成して進めていくものである。
その際に「困っている人を助ける」、「困っている人を作らない」ことが基本理念となる。さらに、より豊かな都市生活を実現させるためには、「どのような人がどう活動するか」について、「多様性」、「利便性」、「快適性」の面から考えないといけない。
日本においては、昭和25〜50年にかけて、都市への急速な人口集中とスプロール開発の蔓延という状態が起きたため、その防止策として都市計画法が制定された。規制しなければ混乱が起きていたのではないかと思う。
20世紀後半は、都市が膨張していく中で都市を作ることに一生懸命となっていたが、その後人口が減少に転じたことにより、新しく都市を作る必要性がなくなり、どのように都市を使っていくかに関心が移っていった。しかし、都市中心部を魅力的にするところまで至らなかった結果、「オープンスペース難民」(星先生の造語)が生まれてしまったと考えている。都市中心部では、佇むことができない、外でランチをしたい、昼寝をしたい、ミーティングをしたいという人がたくさんいるのに対応できる空間が提供されていない。例えば、都庁議事堂前には大きな広場が設けられているが、管理が厳しいため人々は通路以外に使用していない。一方、同じ新宿の高層ビル前の歩道に「新宿シェアラウンジ」としてテーブルと椅子を設置してみたところ、あっという間に多くの人に使用されていた。
今後「都市計画とまちづくり」を考えるにあたっては、「何故、ここに人がいないのか」、「ここで何をしていいのか」ということがとても重要となる。
星先生が実際に札幌で取り組まれた事例や国内外の事例を交えながら、今後の「都市計画とまちづくり」についてどのように考えていくべきか分かり易くご講演いただきました。
これからも、星先生には、学生たちに「人々の活動を考慮した豊かなまちづくり」に関してご講義いただき、日本のまちづくりを支える後継者を育成し続けていただきたいと思います。
最後に、埼玉支部会員のお子様の2019〜2021年度進路状況、Uターン率に関してご説明いただきました。
<ミステリーツアー① —昼食—>
講演会後の研修行程については、「ミステリーツアー」として参加者には事前案内をせず進めました。まず、向かった先は浅草ビューホテル。ここでシェフが料理を届ける「カービングワゴンビュッフェ」を堪能しました。少し早めのお昼となりましたが、朝早かったので丁度お腹も空いてきたころではなかったでしょうか。
コロナ対策には十分に気をつけての食事です。テーブルの人数、テーブルのパーテーション、配膳方法などさすがホテルという感じです。我々もしっかりルールを守りました。ちょっとぎこちないところもありましたが、おいしい食事と東京スカイツリーが目の前に迫る素敵な景色!!
気がついてみれば、マスク越しでもわかる大満足のえがお!えがお!あっという間の90分間でした。
<—ミステリーツアー② —浅草散策—>
次は、食後の運動も兼ねて、浅草寺の参拝と浅草のまちを散策しました。歴史のある浅草寺、仲見世通りに昔ながらのお店が並び、一方で再開発ビルなども建っており、「まちづくり」という面からとても面白いところです。新国立競技場を設計した隈 研吾先生設計の浅草観光文化センターの建物が雷門の門前にありました。ガラスと木をうまく使って和の雰囲気を出し、屋根を積み重ねることで新たな空間を作り出して、狭小地であることをカバーしています。
1時間ほどでしたが、星先生のまちづくりの話を思い出しながら散策できました。
<ミステリーツアー③—マクセルアクアパーク品川見学—>
再びバスに乗り、じゃんけん大会で盛り上がり、マクセルアクアパーク品川へ向かいました。
アクアパークは、360度どこからでも楽しめるイルカショーで有名ですが、音、光、映像など最先端のテクノロジーと生物を融合させた都市型の水族館です。もしかしたら、将来お子様がここの技術担当者として働いているかもしれません。
2005年品川プリンスホテルボウリングセンター跡地に建設されたもので、都市で求められているものが時代により変化していることがわかります。
館内のフロアはもちろん、水槽内までクリスマスで飾られ、素敵な空間が演出されていました。童心に返りアトラクションに乗る人、イルカショーの水しぶきをかぶりにいく人 等、「子どもが小さかった頃以来、久しぶりに水族館に来た」との喜びの声をたくさんいただきました。
2時間弱の滞在時間でしたが、時代の変化と夢の時間を体感できたのではないでしょうか。
大宮に戻るバスの中も、早朝からの疲れも何のその、ビンゴ大会や会員同士の情報交換、今後の支部活動に対する激論など交わしながら、無事全行程を終了いたしました。
最後に、お忙しい中ご講演をお引き受けいただきました星先生、支部の活動にご協力いただきありがとうございました。今回は、残念ながらZoomでのご講演となりましたが、次の機会には是非対面でお願いいたします。
また、幹事の皆様、そして今回の研修会開催に関して、多大なるご協力いただきました埼玉自動車交通様にこの場をお借りして感謝申し上げます。
記 副支部長 髙濱 聰