12月13日(土)、神奈川支部主催の文化講演会が開催されました。情報学部・情報デザイン学科の蒲池みゆき先生を講師にお迎えして、工学院大学 新宿キャンパス内で、先生のご専門である“認知情報学”に関連して、『顔・パターン認識の先端科学』というテーマで御講演頂きました。 神奈川支部の会員の皆様と埼玉の近藤 支部長を含む28名の参加がありました。蒲池先生は、大学・大学院時代に文学部哲学科・心理学を専攻されていらっしゃいます。今は、一見、畑違いとも思われる工学院大学で教鞭を執っておられ、まずはその経緯をお話しされました。人が他者とコミュニケーションを取る場合、相手の顔や表情等を認識し、既知性・関連性等を脳内で瞬時に処理して相手が誰であるかを特定します。その情報処理機能に対する心理学的アプローチということで、表情のパターン分類に取り組まれていたそうですが、そこに物理学的なアプローチが加わり、認知情報学に発展していったそうです。学生時代に先生が考案された表情をパターン分類(真顔+笑顔/悲しみ顔/怒り顔等々)したデータベースは、今も世界中の研究者の論文に引用され、役立っているそうです。先生がこの分野での第一人者であることを知り、工学院大学の先生方の層の厚さを今更ながら知ることができました。
ご講演の中では、私の顔写真と平均的な若者の顔写真をモーフィングという手法(マイケル・ジャクソンの「Black or White」のPVでお馴染み)で合成し、若返らせて下さったり、女性の顔と先生の愛猫の合成写真を作成して下さったり(命名:ポがらしニャン)、顔認識や錯視のお話等々、アカデミックなお話と活発な質疑応答を交えて、あっという間の2時間でした。プレゼンテーションの合間には先生の愛猫の写真がプロジェクターに映し出され、終始、和やかに講演会が進みました。
認知情報学は、今後、色々な分野(電機・化粧品・警備・娯楽等々)に応用されていき、共同研究がますます盛んになっていくであろうということでした。最後の質疑応答の中で、「最近は目先の結果や業績を追って、研究開発が縮小される風潮があるが、一見、何の役に立つのかわからないような研究が重要なこともある。今の学生には、最後まで信念を持ってやり遂げて欲しい。」とご自分の経験からお話しされていたのが印象的でした。
講演会後は新宿キャンパス内で場所を移動し、懇親会が行われました。こちらも多くの方々にご参加頂き、和気藹々とした雰囲気の中、先生を交えて歓談し、先生や会員相互の交流を深めることができました。
略儀ながら、ご多忙にもかかわらず快くご講演を引き受けて頂き、大変興味深いご講演を頂いた蒲池先生, 本部役員交流ということでご参加頂いた埼玉支部の近藤様、千葉支部の久野様、齋藤様、サポート頂いた後援会事務室の皆様、並びに神奈川支部会員の皆様に深く感謝申し上げます。
記: 支部長 川 崎 愛 一 郎