2023年1月21日(土)に「クレヨンしんちゃん」でお馴染みの埼玉県春日部市で、充分な感染症対策を行った上、支部新年会を開催いたしました。新型コロナの影響で実に3年振りとなります。
参加者は支部役員、代議員、そして大学から後援会副幹事長の建築学部建築デザイン学科教授の鈴木敏彦先生をお招きし、総勢22名での開催となりました。
当日は快晴とはいえ北風が強く、1月本来の寒さの中、春日部駅東口にある和風居酒屋・お食事処ヤマヤに集合し、検温、アルコール消毒後に受付を済ませ出席者全員が揃ったところで、新年会幹事髙濱リーダーの司会で開始しました。
最初に岡田支部長から挨拶と鈴木先生のプロフィール紹介がありました。
1.鈴木敏彦 先生 講演会
工学院大学建築学部建築デザイン学科教授であり、後援会副幹事長の職務にもつかれておられる鈴木敏彦先生に「ニューノーマルの暮らしをデザインする」と題してご講演いただきました。
初めに、テレビ東京で放送された「新美の巨人たち 黒川紀章『中銀カプセルタワービル』×田辺誠一」の動画を視聴、1972年に販売され2022年に惜しくも解体された黒川紀章氏設計のカプセルタワーが詳しく紹介されていました。
鈴木先生はこの番組の企画に携わり、出演もされています。また、黒川紀章建築都市設計事務所に6年間勤められ、黒川紀章氏の奥様であった女優の若尾文子さんとのフランス事務所長時代のエピソードについてもお話しいただきました。
解体されたカプセルタワー140戸の居住カプセルの内、23戸が保存され、ニューヨークを始めとして国内外の美術館に寄贈されることとなりました。そのうちの一つを鈴木先生が企業とコラボして購入し、トレーラーカプセルとしてこの春から日本各地を巡るそうです。
カプセルタワーのモデルルームとして使用されていたカプセルの一つは、さいたま市にある埼玉県立近代美術館(黒川紀章氏が最初に設計した美術館)に展示されておりますので、興味のある方は足を運ばれたらいかがでしょうか。
黒川紀章氏は50年も昔に“ホモ・モーベンス(移動する人民)”を予言し、居住空間をカプセル化することにより、生活環境に合わせて建物を変更できるように発想していたことに驚かされました。
残念ながらカプセル式住居は普及しませんでしたが、日本発祥のカプセルホテル、カプセル・イン大阪も黒川紀章氏の設計と教えていただきました。
その思想を受け継ぐ一人として、鈴木先生が取り組まれているニューノーマルな暮らしを実現するためのワーケーション用家具やトランク式のワーケーションデスク、簡単に配置を変えられ生活のオン/オフできる便利なキッチン家具などを紹介していただきました。
また、先生の研究室では災害時の居住環境改善として、カプセル化の発想が活かされている組立式ダンボールシェルターの研究にも取り組まれているとのことでした。
講演後活発な質疑があり、鈴木先生から参加者が興味の持てる丁寧なご説明をしていただきました。
残念ながら鈴木先生はお時間の都合上、ここまでのご参加となりました。
2.首都圏外郭放水路(防災地下神殿)見学会
講演会終了後、貸切バスで首都圏外郭放水路見学に向かいました。この場所の見学は3年前から候補に挙がっており、念願かなっての訪問となりました。バスの移動中、新年会幹事や代議員の紹介を行って、20分程で現地に到着しました。
最初に龍Q館という建物で、ボランティアガイドさんから首都圏外郭放水路の設備や役割についての説明を受けました。
この地域は徳川家康が江戸に来てから、洪水対策のため利根川の流れを変えるなど、多くの先人達の努力で河川改修が行われ、その結果農業生産が増加したり、川を利用し船で江戸への荷物輸送ができるようになったりしたそうです。
しかし、埼玉県の中川・綾瀬川流域は、昔から浸水被害に悩まされており、春日部市にある5つの中小河川の洪水を江戸川に排水する世界最大級の地下放水路を建設しました。
5つの立坑を国道16号線の地下50mに直径10m、長さ6.3kmのトンネルで結んでおり、地下神殿とも呼ばれる調圧水槽から、4機のガスタービン式ポンプで毎秒25メートルプール1杯分の水を排出できる能力があるそうです。春日部在住の代議員さんは「これが出来てから駅前が水に浸からなくなった」とおっしゃっていました。
龍Q館前に集合し、第1立坑から調圧水槽に116段の階段を降りて見学しました。調圧水槽は長さ177m、幅78m、高さ18mの巨大な水槽で、59本の柱がパルテノン神殿を思わせることから地下神殿とも呼ばれ、「仮面ライダー」など映画やTVの撮影にも使われています。
ガイドさんから、ポンプの上限/停止位置や堆積した土砂を除去するために天井からクレーンでブルドーザーを降ろしていることなどの説明を聞き、注意事項を聞いた後、各自で見学を行いました。どこで撮影しても絵になるので、ロケ地を家族に自慢したいとシャッターを切る方もいらっしゃいました。再度116段の階段を上った後、見学は終了となりました。
その後、貸切バスで春日部駅前まで戻り先程講演会を行ったヤマヤに再集合しました。
3.懇親会
埼玉支部の行事としては久しぶりの集合形式での懇親会となり、おいしい料理と飲み物をいただきながら、ゆっくりと楽しい時間を共有することができました。
各テーブルでの懇親が深まった頃、4チームに分かれての飲み物銘柄当てゲームなどを行い笑顔いっぱいで更に懇親を深めました。
最後に集合写真を撮影後、参加者に「クレヨンしんちゃん」パッケージの埼玉銘菓十万石まんじゅうをお渡しして解散となりました。
3年ぶりの新年会はコロナの終息をいまだ迎えない中での実施でしたが、参加者のご協力で感染対策も万全に情報交換も活発に行え、充実した時間を過ごすことができました。
最後になりましたが、たいへんお忙しい中ご講演いただきました鈴木先生とご参加いただきました会員の皆様に厚く御礼申し上げます。
(記)副支部長 青木一宏