神奈川支部では、東日本大震災の復興支援の一環として、イチゴたわしの販売を積極的に支援させていただいております。このイチゴたわしは、今も津波の傷跡の残る宮城県亘理郡山元町の仮設住宅に住まわれているお母様方が集会場に集まって、せっせと手作りで編まれています。アクリル毛糸で編まれたイチゴ型の小さなたわしで、水を含ませるだけで頑固な汚れも落ちると評判のエコたわしです。その売上金が直接、編まれたお母様方のお手元に渡る仕組みになっており、少しばかりの収入と心の支えになっています。
我々、神奈川支部では、その趣旨に賛同し、震災の年から支部総会やキャンパス見学会などのイベントの際に販売のお手伝いを行っております。
この度、私を含む新しい役員の中から、実際に生産現場に伺って生産者の皆様と触れ合いたい、生の声を聴くことによって、より親身になってお手伝いやご協力ができるのではないか、という声が上がりました。これが実現して、2月21,22日に有志9名による今回の生産現場訪問となりました。
元々、山元町はイチゴ栽培で有名な場所でしたが、津波によってイチゴハウスは全て流されてしまいました。今は復興も進み、再び全国最大規模のイチゴ生産地を目指して、ハウス建設が進められており、我々もイチゴ摘みを楽しませて頂きました。
近くには、津波から奇跡的に難を逃れ、校舎が姿を残す中浜小学校があり、見学させて頂きました。校舎の外壁には、『ここまで浸水した』というラインが2階の屋根の下に標されており、また、内部には金属製の配管や柵がグニャグニャになった姿を晒していて、津波の威力の凄さに声も出ませんでした。
その後、今回の主目的である仮設住宅に向かい、イチゴたわしを作っていらっしゃる方々からお話を伺いました。旧交を温めあう役員さんもいて、イチゴたわしの販売を担当されている山下さんとお母様方6名とテーブルを囲み、震災当時のことや今の暮らしのこと、ご家族のこと、将来の不安等々、いろいろなお話を伺うことができました。これまでにも訪問される方々がいらっしゃったそうですが、我々は話し易く、気兼ねなくいろいろ話せて良かったとおっしゃって頂けて本当にうれしかったです。明るく元気で前向きなお母さんたちとの触れ合いを通して、逆にパワーを頂きました。あっという間に3時間が過ぎ、すでに日も暮れておりましたが、「今日はお話しできて本当に嬉しかった!」、「また来るよ!」とお母さんたちとハグをする役員もいて、名残惜しく、集会所を後にその日の宿に向かいました。
翌日は東松島市宮戸の宮戸市民センターを訪れました。ここは、以前、支部役員の方々も訪れたことがあり、そこの主で顔馴染みの奥田所長さんに当時の様子や現在の復興の状況を伺いました。「ここらの漁師には、地震が来たら高台に逃げるというDNAが刷り込まれているから、多くの人が避難して助かった」というお言葉が印象的でした。多少の支援になればということで直売所『ゲンちゃんハウス』で生産している特産の焼き海苔や海苔の佃煮を購入しました。今年の夏祭りや冬の牡蠣祭りもお手伝いができればと考えています。その後、以前お世話になった大高森の民宿にも立ち寄り、皆様が元気で生活されていることを嬉しく感じながら帰路につきました。
途中、線路が流され駅舎の残る野蒜駅や、津波で流されてきた遺体が堰き止められ、いっぱいになったという貞山堀、姿の変わってしまった海岸線などを見学し、津波の恐ろしさを肌身に感じました。復興は進みつつもまだまだ隅々にまでは行き届いていない状況を目の当たりにしたことで、継続的な復興支援の大切さが身に染みた訪問となりました。
早いもので、震災から4年になりますが、あの日の記憶と当時感じていた被災地支援の熱い想いを風化させることなく持ち続けるとともに、「我々は決して忘れていませんよ、いつでもそばにいますよ」という想いを伝えることで微力ながら励ましができるのではないかと考えます。今後も神奈川支部としては、復興支援を行い、被災地の皆様にはこれまで通り細く長く心を寄せていきたいと思います。
記:支部長 川 﨑 愛 一 郎